それに対して,公営住宅では供給時において供給者側(地方自治体)が行う
居住者の選択は,必ずしも地価を反映した経済論理に従ったものではない。そ
の場合に行われる地方自治体の居住者選択には,入居条件としてあげられる申
込者の世帯収入が最重要な基準として作用する。さらにその後の転出入の繰り
返しの過程においては,公営住宅市場では民間住宅市場と異なり,世帯の収入
基準を制約条件とした転入世帯の行政側による選択とともに,高齢者や身体障
害者世帯,低所得者層に対する優遇入居が行われ,福祉政策としての公営住宅
供給が,その福祉機能を果たす一方で,その弊害として低所得者層や高齢者層
の集積を政策の力によって創出しているのである。このような特定の社会階層
を特定の住区・住棟に住宅政策により結果的に集積させてしまう現象は,ハウ
ジング・トラップと呼ばれる(竹中;1990)。

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大規模な公営住宅団地であれば町内会や小学校区などを構成し,それ自体で
地域社会を形成するため,これにより公営住宅への入居世帯の居住者特性に対
するアーバン・マネージャー的な役割に形成された居住者特性は住棟や住宅団
地内部において等質的であるほどそれらの周辺地域とは異なり,しかも小学校
区などにおいて周辺地域との交流がより少ないために孤立した島状の地域社会
の形成となると考えられる。この点について建築学の分野において平山ほか
(1986)は,大阪市平野区の公営住宅における被保護世帯(高齢者や生活保護
受給の世帯)の集積のメカニズムを明らかにしている。その居住者特性の分析
の結果として,低所得者や高齢者などの経済的弱者の集積が明らかにされてお
り,公営住宅政策がある程度は福祉的役割を果たしてきたといえる。

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