先の主婦の場合と同様、家の中に気に入った空間があり、興奮を鎮めたり、自分を振り返るといった心理的作業に使うことのできる空間のあることが自己の再確認や安定化に寄与することは想像に難くありません。一方で、意外なことに排他性は自立性とはなんら関係しませんでした。そのうえ、愛着や自己表現とも相関しませんでした。これは自己表現と排他機能を結びつける従来のヒトのなわばりについての考え方と一致しません。ただ、たいていの若者が他人がノックもせずに部屋に入ってきても不愉快には思いながらも抗議しないと答えているように、この調査も含めて我が国での調査結果は自室空間の低い排他性をその特徴としています。この弱い排他的態度がこうした結果をもたらした可能性もまだ残されています。有った方が良い設備やしっかり固定したり守ったりしなければならない設備もある。←いろいろな設備はこちらのサイトから確認してください。このように、同じように個室を保有していても部屋への愛着度や部屋の自己表現度によって自我の発達度が異なる可能性を調査は示しています。もしそうであれば、逆に、部屋がなくてもそれに替わるなわばり的空間があればよいということもできます。つまり、子供部屋の有無というよりは、なわばり的空間の有無が重要だということのようです。・精神的危機に際しても自分の場所をもつことが重要な意味をもつ子供部屋のような自分の場所を確保することは、自己同一性確立にともなう危機を乗り越えるのに役立つ要因のひとつであることは、精神科医の指摘することでもあります。たとえば精神科医の笠原嘉はその著書の中で、青年の患者が自分の場所を確保したのを契機に症状が軽減したという体験を述べています。

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